お腹の赤ちゃんに心臓病?先天性心疾患って何?

自分の大切な赤ちゃんに心臓病があると告げられたら?
私は妊婦健診の29週目でお腹の赤ちゃんに心臓病があると告げられました。
とても順調なマタニティ生活を送っていました。運動が必要と聞いていたので、マタニティビクスとマタニティスイミングを習って、プレママ友達もたくさんいました。
唯一の心配は、まだ赤ちゃんの性別がわからなかったこと。

29週目の妊婦健診では、かかりつけの産院に大学病院の先生が来ている日で、いつもよりも詳しく見てもらえるということでした。
「性別がまだわからないので、できれば知りたいんですけど。」
と言うと
「それなら、重点的に股間の部分を確認しましょう(笑)」ととても和やかに健診が始まりました。
エコーでお腹の赤ちゃんを見ていた先生。
やがてその手が止まり、少し表情が険しくなったように見えました。
まるで、ドラマのワンシーンのように
「赤ちゃんの心臓に・・・ちょっと問題があるかもしれないですね。」
と言って、それっきり言葉は無いまま、ひたすらエコーを続ける先生。
私は不安しかありませんでした。
そしてエコーを終えると
「赤ちゃんの心臓に問題がありそうなので、来週私のいる大学病院に来てください。」
と告げられました。
結局、赤ちゃんの性別は知らされないままでした。



赤ちゃんに心臓の病気があると知らされたら、驚かない人はいないと思います。
しかし、先天性心疾患は決して珍しいものではありません。
心疾患には軽度のものから重度のものまで様々な種類がありますが、それらを全て含めると産まれてくる赤ちゃんの100人に1人が先天性心疾患だそうです。

よく、テレビドラマのエピソードで、ちょっと体の弱い子供が出てきて「僕、心臓病なんだ。」なんて言うシーンがあります。“ドラマだから心臓病なんて大袈裟な設定なのね”という事ではなく、身近によくある話ということなんですよね。

我が家の息子の場合は先天性心疾患の中でもかなり重度の病気で、主治医の先生からは「100万人に1人の疾患ですね。年間100万人の赤ちゃんが産まれているから、今年産まれた赤ちゃんの中ではたった1人。そのくらいの稀で重症な疾患です。」と言われました。
でも、その後に続けて先生はこう言いました。

「産まれてくる赤ちゃんの中には、何が原因なのかわからない子もいます。でも、この子はまだお腹の中にいる時に病気を教えてくれた。これは凄いことですよ。強運な赤ちゃんです。だからきっと大丈夫。この子はお母さんを選んで産まれてくるんだから、この生命力を信じて頑張りましょう!」

私は、その言葉が嬉しくて涙が止まりませんでした。
赤ちゃんが病気だから悲しいのではなく「強運な子だ」と言われた事が嬉しかったのです。



重症な心臓病と言われた通り、産まれてからの息子は何度も命の危機にさらされ、何度も手術を繰り返してきました。一生この病気とは付き合っていかなければなりません。
でも、その息子も今は中学生になり、元気な子と同じように学校に通っています。

息子が産まれた13年前、100万人に1人と言われた病気でしたが、今はもっと発見率が多くなっているそうです。医学の進歩は凄いなと感じます。ひと昔前は助けられなかった病気でも、年月と共に助けられる病気になってくることも珍しい事ではありません。

重い病気を持って産まれた息子ですが、私はそれを悲しい事だとは思っていません。
産まれてからの1年でどれだけ多くの人に助けてもらったでしょう。長い入院期間に息子を見てくれた先生達、看護師さん、同じ病気を持つママ友達、本当に多くの方に名前を呼んでもらいました。
その後の幼稚園生活、小学校生活でも本当に多くの人に応援してもらいました。

息子が重い病気で産まれた事で、私は“オンリーワン”の育児ができているような気がしています。
病気で産まれる事は大変な事も多いです。でも決して悪い事ばかりではありません。
今は高齢出産や医療の発展で、昔よりも病気の子供を発見する確率が増えていると聞きます。
もし、自分のお子さんに病気があると言われても悲しまないでください。
同じ境遇を持つママ友達はすぐそこにいるはずだから。

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